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住友商事・三菱商事…商社が洋上風力拡大

住友商事・三菱商事…商社が洋上風力拡大

住友商事は洋上風力発電事業を拡大させている(ベルギーのノースウィンド事業)

商社大手が、脱炭素社会の実現に向けて洋上風力発電事業を拡大している。住友商事は、フランスのビスケー湾沖合でのノワールムーティエ洋上風力発電事業の建設工事を4月中に開始する。約22億ユーロ(約3000億円)のプロジェクトファイナンスの組成が完了し、工事着工のめどが立った。2025年後半の完工を目指し、25年間の運転を予定する。三菱商事もオランダで5件目の事業権を獲得。各社の再生可能エネルギー分野の成長が続きそうだ。

住友商事は18年12月にフランスの電力大手エンジーなどとの共同事業に参画してビスケー湾沖合12キロメートルの海域で共同開発を進めてきた。住友商事は29・5%の権益を保有する。風車を海底に固定する着床式で、総発電容量は約50万キロワットの計画。年間発電量は約80万人分の消費電力相当を想定する。フランス国営電力会社との長期契約に基づき売電される。

このほか住友商事は、英仏海峡沖合15キロメートルで5月ごろ着工予定のル・トレポール洋上風力発電事業にも参画している。ノワールムーティエ事業を合わせた総発電容量は約100万キロワットとなり、持ち分ベースでは合計約30万キロワットに達する見込み。

住友商事は、再生エネの持ち分発電容量を3月末時点の約180万キロワットから30年までに300万キロワットに拡大することを中期目標に掲げている。海外ではすでに、ベルギーや英国で洋上風力発電が稼働している。

三菱商事は22年末にオランダのエネルギー子会社エネコを通じ、オランダでエネコの5件目となる洋上風力発電事業の事業権を獲得。丸紅は22年末に能代港洋上風力発電所(秋田県能代市)、1月に秋田港洋上風力発電所(秋田市)の商業運転を開始している。


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日刊工業新聞 2023年04月10日

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