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工作機械受注は4カ月連続減少、設備投資の様子見続く

工作機械受注は4カ月連続減少、設備投資の様子見続く

昨年11月に開催された工作機械見本市

日刊工業新聞社が15日まとめた工作機械主要5社の4月の受注実績は、前年同月比9・1%減の351億3200万円と4カ月連続で減少した。前月比では8・3%減と3カ月ぶりの減少。金利の上昇や世界経済の減速懸念などから、顧客が設備投資を様子見する動きが続いているようだ。

4月分から、ニデックオーケーケーとニデックマシンツール(旧日本電産マシンツール、滋賀県栗東市)が受注実績を非公表としたため5社での集計となった。

5社合計の内需は前年同月比24・9%減と4カ月連続、外需は同0・2%減と2カ月連続でそれぞれ減少した。2022年秋頃に顕在化した受注の調整客面が続く。

5社のうち唯一前年同月比でプラスとなった牧野フライス製作所は、22年5月以降に受注が好況期に入ったため、比較的低水準だった22年4月との比較では受注が伸びた。米国や中国市場では23年1―3月期の1カ月平均と比べて伸びるなど堅調に推移した。

オークマは米国、欧州、中国市場で電気自動車(EV)関連向けなどが堅調に推移。中国では一時期より受注の勢いは落ち着いたが、受注額の大きい案件を取り込んだ。国内は半導体製造装置関連向けなどが好調だった前年と比べ「受注の勢いは落ち着いてきた」(営業部)と見る。

ジェイテクトは中国市場でEVなど新エネルギー車向けの需要が続く一方、国内では「エンジン部品以外の市場で受注に回復傾向がある」(経営企画部)という。芝浦機械は中国で風力発電向けの受注が増加したが、インドで反動減があり海外全体では減少した。

今後の受注見通しについて牧野フライス製作所は「中国でのEV関連向けの受注を皮切りに、下期(23年10月―24年3月)にかけて半導体関連向けなども含め世界で受注が高まることを期待している」(サステナビリティ推進室)とした。オークマは「夏から秋以降にかけて半導体製造装置向けをけん引役に受注が良くなっていくのではないか」(営業部)との見方を示した。

ツガミは中国を中心とした海外市場全般で受注の調整局面が継続。同社幹部は4月の受注実績も悪くなかったとし、「今までが良かったのか、今後も調整局面が続くのか。受注が反転する時期を探っている」と述べた。


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日刊工業新聞 2023年月5月16日

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