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航空機・火力発電所用途を見込む、800℃の高温に対応する光ファイバーはどう開発したか

航空機・火力発電所用途を見込む、800℃の高温に対応する光ファイバーはどう開発したか

開発した光ファイバーは800℃の高温に対応する

ヒキフネ(東京都葛飾区、石川英孝社長)は、800度Cの高温に対応できる光ファイバーを開発した。複数の高融点金属微粒子を均一にガラスファイバーへ付着させ、熱膨張率による歪みの影響を抑えた。これにより800度Cの環境下で使用しても、光学的特性を損なわずに温度センサーとして使用できる。火力発電所や航空機など、高温センサーが必要な用途での需要を見込む。5年後には年間6000万円の売り上げを目指す。

熱電対を用いた温度センサーは電磁波の影響を受けて、誤差が発生する可能性がある。光ファイバーを用いると電磁波の影響は受けないが、光ファイバーを保護する外周のコーティングは樹脂製のため、耐熱温度は耐熱樹脂でも300度C台が上限だった。一方、金属コーティングの光ファイバーは750度Cまで耐えられるが、金属とガラスの熱膨張率の差が原因で折れやすい課題があった。

火力発電所向けセンサーなどでの利用を見込む

新たに開発した高温対応の光ファイバーは、ガラスファイバーに高融点金属微粒子を付着させた。現在は長さ100メートルまで対応可能。今後は長さ200メートル程度まで対応可能にすることを目指す。

高温下での用途として、火力発電所のボイラー管の歪みセンサーや、航空機のジェットタービン用温度センサー、エンジン開発時の温度センサー、シェールガス探査用温度センサーなどを想定する。展示会などで製品の優位性をアピールしながら受注拡大を図る。

ヒキフネは1932年創業で、デジタル機器・家電部品、電気・電子部品、自動車部品、半導体関連など幅広い製品のメッキ加工を手がける。

日刊工業新聞 2023年05月11日

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