ニュースイッチ

光ファイバー並の大容量、NTTが毎秒1.44テラビットの無線伝送技術を開発

光ファイバー並の大容量、NTTが毎秒1.44テラビットの無線伝送技術を開発

サブテラヘルツ帯で開発されたアンテナ(NTT提供)

NTT未来ねっと研究所の笹木裕文研究主任と李斗煥特別研究員、工藤理一グループリーダらは、毎秒1・44テラビット(テラは1兆)と光ファイバー並みの大容量無線伝送技術を開発した。電波の軌道角運動量(OAM)という物理量を利用して情報伝送を多重化する。32ギガヘルツ(ギガは10億)の広い周波数を通信に使えるため従来より1ケタ伝送容量が増えた。基地局間通信などでの実用化を目指す。

進行方向に対して、らせん状の位相を持つOAM波を利用する。らせんの巻き数が違えばOAM波を重ねても信号が干渉せずに分離できる。そこで8モードのOAM波を重ねて多重化した。

OAM波は小さなアンテナを丸く並べたアレーアンテナで送受信する。この回路を工夫し、周波数135ギガ―170ギガヘルツの広帯域にわたって位相シフト量を一定にした。らせんの巻き数を精緻に制御して送受信できる。

さらに回路の交差部分を排除して信号の漏えいや反射などを防いだ。他のモードから混入するノイズは信号強度の100分の1。信号同士が干渉しない。

日刊工業新聞 2023年03月31日

編集部のおすすめ