景気DI改善も…「押し上げる力強さはまだない」
帝国データバンク(TDB)が8日発表した4月の景気動向調査(全国)は、景気DIが前月比0・7ポイント増の44・6だった。2カ月連続で改善した。人手不足や物価上昇などがマイナス要因となったものの、個人消費関連を中心に、幅広く改善した。新型コロナウイルス感染症対策の緩和を背景にした人流増加が景気を押し上げた。
景気DIは50を境に「良い」か「悪い」か判断する。地域別では全10地域で改善。「九州」が同1・7ポイント増の48・1で最も高かった。ただ、10地域の格差は同1・0ポイント増の7・4に広がった。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」がそろって2カ月連続で上向いた。
業界別では全10業界が改善した。人出の増加による好循環が幅広い業種に広がった。10業界のうち「サービス」が同0・8ポイント増の50・8で最も高く、3カ月連続で上向いた。特に、インバウンド(訪日外国人)需要の回復や全国旅行支援の延長、イベントの再開などが好材料となり、「旅館・ホテル」が同2・6ポイント増の62・1だった。
「製造」は、同0・4ポイント増の41・4で、2カ月連続で改善した。中でも、大手自動車メーカーの挽回生産を背景に、「輸送用機械・器具製造」が同0・3ポイント増の41・5となり、3カ月連続で上向いた。
TDBは今後について、「景気は緩やかに上向くものの、人手不足や物価高などが下押し材料となり、一段と押し上げる力強さはまだない」とみる。
日刊工業新聞 2023年月5月9日