容量2倍の全固体電池搭載、マクセルが性能評価キット開発
マクセルは自社のセラミックパッケージ型全固体電池「PSB401515H」を搭載する評価用電源モジュールキットの開発をロームと共同で進めていることを明らかにした。全固体電池の採用を検討する企業に提供し、性能評価に役立ててもらう。発売時期は明確にしていないが、「早期に出せるように調整している」(佐野健一マクセル執行役員)。一連の施策で全固体電池の活用例の掘り起こしや新規顧客の開拓を強化する。
PSB401515Hのサイズは縦14・5ミリ×横14・5ミリメートルで、容量が従来品の「PSB401010H」と比べて2倍の16ミリアンペア時となる。PSB401515H自体の製品化は2022年9月に発表していたが、評価用電源モジュールキットの開発・提供により、マーケティングや営業活動を加速する。
同キットの基板にはPSB401515Hを載せる空間を確保済みだが、基板上の部品の配置を変えるといった設計変更を行う可能性があるという。
PSB401010HおよびPSB401515Hの生産は、京都事業所(京都府大山崎町)で23年度内に開始予定。量産設備は導入済みで、稼働に向けた準備を進めている。ロボットをはじめとする工場自動化(FA)機器や、プラントなどの設備を監視するセンサー向けを中心に提案していく。全固体電池事業で30年度までに300億円規模の売上高を目指す。
PSB401010Hの評価用電源モジュールキットは発売済みで、ロームの昇圧DC―DCコンバーター(電圧変換器)集積回路(IC)が用いられている。「国内外から多数の引き合いが来ている」(佐野マクセル執行役員)。
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日刊工業新聞 2023年04月26日