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完成車メーカー2社が初採用、三井化学「再生プラ材料」の訴求力

完成車メーカー2社が初採用、三井化学「再生プラ材料」の訴求力

米オハイオ州のPPコンパウンド拠点

三井化学は市場から回収された再生プラスチックを使ったポリプロピレン(PP)材料が米国の完成車メーカー2社に初めて採用された。電気自動車(EV)のトランクと内装部品向けに供給を始めた。自動車生産の回復が進む中、環境対応製品で販売回復を加速する。中国や日本でも再生PP材を訴求する。

三井化学は市場から回収されたプラ(PCR材)を30―50%配合したPPコンパウンド(混練)を供給する。米オハイオ工場で生産する。においや劣化状態、色などにバラつきがあるPCR材を使いつつ、三井の混練技術により、自動車部材に求められる強度や安定した品質を実現した。

「通常のプラでは見えにくかった品質安定技術の優位性がPCR材の利用で日の目を見た」(白田孝モビリティソリューション事業本部PPコンパウンド事業部長)という。

中国や日本でも同材料を訴求し、中国では早ければ23年度にも採用が決まる見通し。日本でも今後ニーズが増えると予想し「樹脂メーカーとして安定したリサイクル材の回収が課題となる」(是久金造プライムポリマー取締役)とみる。

三井化学は23年度の国内PPコンパウンド販売について前年度比10%増を見込む。同コンパウンド分野では再生材のほか、塗装不要の着色材や低VOC(揮発性有機化合物)材などの環境対応製品を強化していく。


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日刊工業新聞 2023年04月20日

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