JDIが中国ディスプレーメーカーと提携、次世代有機EL事業の行方
ジャパンディスプレイ(JDI)は10日、中国のディスプレーメーカー、HKC(恵科)と事業提携すると発表した。次世代の有機ELディスプレーの需要拡大を見込み、JDIの独自技術を供与し、中国で工場を共同で建設する。投資額は数千億円の見込み。ウエアラブルデバイスや車載パネル向けの生産を想定し、2025年をめどに量産する。JDIは自社技術を他社にライセンス供与する収益モデルの確立を目指す。
JDIとHKCは7日に戦略提携の覚書を締結した。10日の会見で、JDIのスコット・キャロン会長兼最高経営責任者(CEO)は「複数の工場建設を考えている」とした。両社は今後、6月をめどに最終合意する予定。
新工場の建設にかかる投資はHKCが負担する。工場建設のほか、日本国内ではHKCとの共同開発センターを、早ければ24年に開設する。
JDIは、22年5月に独自に開発した有機ELディスプレー「eLEAP(イーリープ)」の量産技術を確立した。同8月にはサンプル出荷を始めた。24年中に茂原工場(千葉県茂原市)で量産を予定する。イーリープの製造にはメタルマスクが不要なため、投資にかかる費用を従来比2―3割削減できる。
HKCとの提携を通じ、例えばウエアラブルデバイスに関しては27年に出荷量と市場シェアで世界1位を目指す。「十分に達成できる」(キャロン会長兼CEO)と目標達成に自信を示す。HKCは01年に設立。大型ディスプレー分野で急成長している。
日刊工業新聞 2023年月4月11日