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収率2倍…住友化学が新技術でCO2からメタノール量産へ

収率2倍…住友化学が新技術でCO2からメタノール量産へ

シンガポールではCO2と水素からメタノールを製造する検討も行っている(同国内の石化プラント)

住友化学は2023年末に、二酸化炭素(CO2)から従来技術の2倍以上の収率でメタノールを製造できる新技術のパイロット設備を稼働する。島根大学と共同開発中の新コンセプトの反応器を採用し、収率を高める。生産能力は年数百トン。量産を見据えた検証を行い、30年に量産工場の稼働を目指す。

CO2と水素を反応させて製造するメタノールは、環境負荷低減に寄与する化学品原料などとして注目され、複数の企業が技術開発に取り組む。ただ、反応器内のメタノール気体は一定の割合でCO2に戻るため収率が低く、通常は反応ガスを循環させて何度も反応させる必要がある。

島根大と住友化学の技術は反応器内に冷却ゾーンを設けてメタノール気体を液化して減らし、より多くのCO2をメタノールに変換する仕組み。両者は反応触媒の改良・開発も行い、効率の高いメタノール製造技術を目指す。現在、国内でパイロット設備を建設している。投資額は明らかにしていない。

この実証とは別に、シンガポールでCO2と水素からメタノールを製造することも検討している。

資源循環の実現に向けて、化学業界では廃プラスチックやCO2から化学品原料を作る技術の開発が加速している。今回の技術は、実現すれば効果の大きい長期テーマとして新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金(GI基金)事業に採択された。同社はこれとは別に、廃プラスチックを基礎化学品に直接分解する技術の開発なども行う。

日刊工業新聞 2023年04月03日

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