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京大と三菱重工が実用化へ、高温超電導モーターの焼損防ぐスゴい新技術

京大と三菱重工が実用化へ、高温超電導モーターの焼損防ぐスゴい新技術

50キロワット級の超電導モーター(京大提供)

京都大学の中村武恒特定教授はイムラ・ジャパン(愛知県刈谷市)、三菱重工業と共同で、高温超電導モーターを室温で運転しても焼損を防ぐ技術を開発した。超電導体と常伝導体のハイブリッド構造で電流を逃がす。冷凍機の故障で超電導状態が解除されてもモーターが壊れない。高温超電導モーターのフェールセーフ(安全な故障)機能として実用化を目指す。

高温超電導体と常伝導体を並列化したハイブリッドかご型巻線を開発した。低温では電気抵抗のない超電導体に大電流が流れてモーターを回す。冷凍機の故障で温度が上がって超電導状態が解けると、常伝導体に電流が流れる。電気抵抗の高くなった超電導体に過大な電流が流れると焼損するが、常伝導体が引き受けることで故障を防げる。

実験では50キロワット級の超電導モーターを室温で5・5キロワットの出力で運転できた。ハイブリッドかご型巻線には460アンペアの電流が流れるが焼損は見られなかった。6キロワット級モーターでは1・5キロワットの出力で運転できた。

自動車や航空機の超電導モーターの超電導が解けても、暫時運転で安全地点まで移動できると期待される。

日刊工業新聞 2023年03月09日

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