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トンネル工事の生産性高める、清水建設が開発した掘削具合を可視化する新技術の仕組み

トンネル工事の生産性高める、清水建設が開発した掘削具合を可視化する新技術の仕組み

掘削過不足分の画像を照射する(イメージ)

清水建設は山岳トンネル工事で掘削具合を可視化する技術「切羽版SP|MAPS」を開発し、実際の現場に適用した。3次元(3D)レーザースキャナーで計測した切羽(掘削面)の形状と設計形状を比較し、掘削の過不足量に応じて色分けしたマッピング画像を作成して掘削面に直接照射する。作業員が切羽の直下に立ち入り掘削状況を目視確認する必要がなくなり作業の安全性が高まる。重機の操縦者は掘削する箇所と掘削量を正確に把握し作業効率・精度も向上する。今後、自社で施工するトンネル工事に水平展開し安全性と生産性を高める。

同社が施工する「東海北陸自動車道 真木トンネル工事(富山県南砺市)」の実証実験では、発破掘削後に設計断面の内側に残った地山をブレーカーで掘削し整形する「アタリ取り」作業時間を従来手法と比べ約32%短縮できた

切羽版SP|MAPSは3Dレーザースキャナー、照射用プロジェクター、測量用プリズム、ノートパソコン、測量機器から構成する。重機の往来が激しい切羽近くで機材の設置・撤去時間を短縮するため、測量機器以外は車両に搭載して使う。プリズム測量から画像照射までの工程を約50秒で自動的に行う。

日刊工業新聞 2023年3月9日

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