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鹿島・大林組・清水建設が営業増益も、ゼネコンの受注環境に残る懸念材料

鹿島・大林組・清水建設が営業増益も、ゼネコンの受注環境に残る懸念材料

国内では首都圏などで大型工事の施工が順調(イメージ)

ゼネコン大手4社の2022年4―12月期連結決算が14日に出そろい、鹿島大林組清水建設の3社が営業増益となった。都市部の大型再開発プロジェクトや生産拠点の国内回帰、国土強靱化(きょうじんか)に向けた土木工事など旺盛な受注が寄与。建設受注高は全社で前年同期を上回った。建築・土木に次ぐ成長の柱と位置付ける不動産事業で大型案件を売却した効果や、工事損失引当金を計上した前年同期の反動増も出ている。

ただ、工事採算の改善は途上にあり、引き続き懸念材料となっている。建設資材価格の高騰を踏まえ、各社は早期調達や生産性向上といった対策を強化。発注者への価格転嫁交渉や、バリューエンジニアリング(VE)の提案も進めた。それでも、建設工事の採算性を示す完成工事総利益率(単体)を見ると、建築分野で改善したのは大林組のみ。鹿島と清水建設、大成建設はそれぞれ前年同期比1・5ポイント減、同1・1ポイント減、同2・8ポイント減とやや悪化した。

日本建設業連合会によると、22年12月の資材価格は21年1月に比べ平均28%上昇した。建築で30%、土木で25%の上昇となる。材料費の割合を50―60%とすると、仮設費や経費を含む建設コストはこの22カ月で平均14―17%増加した計算になるという。建築では15―18%、土木も12―15%上がった格好だ。H形鋼や異形棒鋼などの価格が落ち着いた一方、コンクリート型枠用合板や生コンクリートは上げ基調が強い。

建設業界は併せて、現場の担い手不足を背景とした労務費の上昇にも直面している。特に鉄筋工や型枠工は地域によって大きく不足しているのが実情で、建設コストが増加する一因になっている。

日刊工業新聞 2023年02月15日

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