拡大路線の失敗で悪化した日産の財務体質、さらなる危惧

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日産の内田誠社長

日産自動車は過去の拡大路線の失敗もあり2021年3月期は2期連続で当期損益が赤字となり、財務体質も悪化している。社債発行などで手元資金を厚くしているが、利払いの負担が財務をさらに悪化させる可能性を指摘する声もあり、本業である新車販売の回復による収益拡大が求められる。

短期的な支払い能力を示す流動比率は153・9%と目安の100%を上回っており足元に問題はないものの、21年3月期の自己資本比率は24・0%と19年3月期の28・0%から悪化。トヨタ自動車の37・6%、ホンダの41・4%、スズキの41・8%と比べてみても低い水準だ。

日産は24年3月期までの4年間の中期経営計画で、生産能力の最適化や販売の質の改善などの構造改革に取り組んでいる。すでにインドネシア工場を閉鎖し、車種数を減らすなど、21年3月期までに固定費を19年3月期比3500億円以上削減。営業利益損益分岐点台数も19年3月期の約500万台から約440万台に減らした。

また、20年9月には米ドル・ユーロ建てで総額約1兆1000億円の社債を発行するなど手元資金を厚くした。ただ「外債発行に伴う四半期当たりの支払金利が約110億円になる」(日産幹部)など財務面の負担は重くなっている。

今後は、米国での金利上昇や中古車価格正常化による販売金融の収益性低下が見込まれる。一方、自動車業界ではCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)技術や脱炭素への対応が競争力を左右するため投資はさらに膨らんでいくと見られる。

だが、日産の21年3月期末のDEレシオ(負債資本倍率)は1・9倍。トヨタの1・1倍、ホンダの0・9倍と比べ高く、投資余力に差がある。さらに、東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「3年もすれば金利を払うために設備投資を抑制するような状況になりかねない」と危惧する。

財務改善のためにも半導体不足で遅れがちな新車を確実に市場投入し、値引きに頼らずに販売を伸ばして収益を確保するなどして持続的に成長できる事業基盤を整えることが急務だ。

日刊工業新聞2021年10月21日

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