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核融合実験炉に据え付け、世界最大規模「超電導コイル」4基の最終号機完成

東芝ESSが発表
核融合実験炉に据え付け、世界最大規模「超電導コイル」4基の最終号機完成

東芝エネルギーシステムズが製造し、イーターに納入したトロイダル磁場コイル

東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS、川崎市幸区、四柳端社長)は21日、世界最大規模の超電導コイルであるトロイダル磁場(TF)コイル4基の最終号機を完成したと発表した。同TFコイルは、南仏で建設が進む核融合実験炉「ITER(イーター)」向けに量子科学技術研究開発機構(量研機構)から受注していた。

イーターに組み込むTFコイル18基のうち、日本分担分の8基を、東芝ESSと三菱重工業がそれぞれ4基完成した。量研機構が日本の製作のとりまとめを担い、東芝ESSはTFコイル4基と収納容器6台の製作を担当した。2025年のイーター運転開始に向け、イーター機構が現地で据え付け作業を進める。

TFコイルはイーターの主要機器で高さ16・5×幅9メートル、重さ310トン。コイルをマイナス269度Cの極低温に冷却して超電導コイルとし、巻き線部に世界最大の6万8000アンペアの電流を流し11・8テスラの強力な磁場を発生させて、数億度Cのプラズマを閉じ込める。

高い磁場精度が求められるため、コイルの電流中心線は数ミリメートルの誤差に収める必要がある。大きな磁場からTFコイルに加わる6万トンもの巨大な電磁力から巻き線部を守るため、巻き線部と分厚いステンレス構造物を一体化させている。

日刊工業新聞 2023年02月22日

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