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「専門医」スマホから指導、医療教育リモート化進む

「専門医」スマホから指導、医療教育リモート化進む

移動式手術トレーニング施設「モバイル・トレーニング・ラボ」(日本メドトロニック提供)

医療教育のリモート化が進む。コロナ禍の移動制限下では、医師ら医療者が一カ所に集まりトレーニングを受けるといった集約的な教育が難しくなった。こうした中、医療機器メーカーはリモートでも質の高い教育ができるサービスを始めた。医療の質向上に加え、自社製品を展開する上でも、医療者のニーズに寄り添ったトレーニングの仕組みが重要となっている。(安川結野)

GEヘルスケア・ジャパン(東京都日野市)は、手のひらサイズの超音波診断装置「Vスキャン・エアー」を使ったリモート教育支援サービス「マイ・リモート・シェア」を展開する。Vスキャンは持ち運びが容易で、スマートフォンやタブレット端末で検査画像を見られるのが特徴だ。マイ・リモート・シェアではモバイル端末に表示された検査画像を共有し、離れた場所から熟練の医師の検査のやり方を学んだり、検査をしている研修医に専門医が指導したりできる。

従来は教育する医師と機器を学習者が取り囲むのが主流だったが、コロナ禍では集まって指導を受けるといったトレーニングが難しくなった。GEヘルスケア・ジャパン超音波本部の麻生光氏は「マイ・リモート・シェアは、屋外からでも教育を受けられる。検査している手元もカメラで写すことができるのがポイントで、角度などもしっかり学べる」と説明する。

また在宅医療にも有用だ。患者宅にいる看護師が医師の指導のもと検査をする場合があり、マイ・リモート・シェアを活用することで離れた場所にいる医師と検査実施者が検査画像を共有しながらリアルタイムで意思疎通が可能になり、検査の質の向上が期待される。

マイ・リモート・シェアはVスキャン本体の購入に加え、5万4000円(消費税抜き)の追加料金で3年間使用できるサブスクリプション(定額制)サービス。麻生氏は「購入された機器の10―15%でマイ・リモート・シェアに加入してもらうのが目標」と話す。

日刊工業新聞 2023年2月16日

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