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電池材大量生産に道、産総研がグラファイト層間化合物を高速合成

電池材大量生産に道、産総研がグラファイト層間化合物を高速合成

リチウム(Li)を導入したGICとグラファイト(産総研提供)

産業技術総合研究所の伊豫彰上級主任研究員と永崎洋研究グループ長らは、グラファイト層間化合物(GIC)の高速合成法を開発した。GICはグラファイトの層と層の隙間に金属原子が入った物質で、リチウムを導入したGICはリチウムイオン電池(LiB)の材料になる。電池材料の大量合成につながる。

グラファイトと触媒になる金属ナトリウム、導入したい金属を混ぜるとGICが得られる。グラファイトは黒い粉末だが、室温で数分混合すると銀色の粘土状に、15分ほどでリチウムが導入された金色のGICになった。

金属やアルカリ土類金属が導入できた。アルカリ土類金属のGICは350―450度Cで6―10日かけて作られてきたが、金属ナトリウムを使うと250度Cで数時間で合成できる。

ナトリウムがグラファイトの層間を開け、他の金属原子に置き換わる。ナトリウムは150度Cで加圧すると液体ナトリウムとして分離できた。緻密なGICペレットが得られた。

今後GICの大量合成や他の元素の導入、電池の電極材料への応用を検討する。

日刊工業新聞 2023年2月16日

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