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若手・中堅の活躍引き出す、名古屋銀行が8年ぶりに改定した人事制度の中身

名古屋銀行は2022年10月に約8年ぶりに人事制度を改定した。営業職の賃金水準引き上げや早期昇格の仕組みなど、主に若手から中堅の活躍を引き出す制度に改定。一方、“役職定年”を迎えた55歳以降の人材を賃金減なしで継続登用できる制度も導入し、全行員に目を配った。考課の考え方も個人重視からチームワーク重視に変更した。

改定で目指すのは、同行が地域の企業と個人に価値を提供し続け、将来を持続的に開く「未来創造業」の実践。そのために行員が主体的に働く組織の構築、努力する行員のキャリア自律を支える環境整備を重視した。「(近年注目される)『人的資本経営』との言葉を当初意識せずに設計したが、結果的に人的資本経営そのものとなった」(鈴木克典人材開発部長)。

係長以下の一般行員(プレイヤー職群)に、仕事と役割に応じた職務等級を付与。これにより例えば、営業業務(渉外業務)を選んだ行員は職務等級が上がり、賃金水準が上がる。従来は「渉外もできる」行員の能力部分として差を設けていたが、「渉外の仕事と役割」によって賃金に差をつけることを明確にした。「銀行業の根幹を担う」営業職をより多くの行員が進んで選べるようにした。

また、昇格には段階ごとに最低経験年数を必要とするが、改定後は評価が高ければ1年を2年分とみなせるようにした。これにより22歳大学卒・入行で最短31歳の支店長職を可能にした。

役職定年では従来は役職を外れることで賃金が下がった。新制度では能力が高い55歳以降の行員は、部長や支店長などに留まり賃金も下がらない。

考課制度にも工夫を凝らした。従来の目標管理制度は個人の目標と達成を見ていたが、「OKR」の考え方を導入。組織の成長につながるか、チームワークを目的とした目標設定に変更。達成水準も従来の100%から70%程度にした。こうした改定により行員の能力、やる気を最大限引き出す。

日刊工業新聞 2023年01月17日

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