触らずに野生イルカの年齢を推定、新手法に期待される貢献
イルカを保護しながら生態解明―。近畿大学の酒井麻衣講師、八木原風修士修了生、御蔵島観光協会(東京都御蔵島村)の小木万布氏らは、野生ミナミハンドウイルカの腹部に形成される斑点模様の量の観察により年齢を推定する方法を開発した。イルカに触れずに水中観察のみで済むため、希少な野生イルカの保全と研究活動への貢献が期待される。
近畿大などはイルカの体を5部位に分け、それぞれの部位の斑点の出現度合いを3段階で評価した。数値でない情報を数値に変換して統計解析できる「数量化理論」という解析方法で年齢と斑点の関係式作成に成功した。水中観察カメラに写るイルカの体表面を観察するだけで年齢推定が可能になったという。
開発した手法は斑点の出現度合いを目測して評価するため、特殊技術やソフトウエアを必要としない。イルカの年齢ごとの死亡率などが分かれば、個体群の絶滅のリスクを検討できる可能性がある。成果は海生哺乳類学国際誌に掲載された。
日刊工業新聞 2023年02月08日