ニュースイッチ

排熱発電で欧州市場を開拓する川崎重工の勝算

排熱発電で欧州市場を開拓する川崎重工の勝算

川重はセメント排熱発電設備で国内最大手(太平洋セメントの埼玉工場に納入した設備)

川崎重工業はセメント工場に追加設置する排熱発電設備の欧州市場を開拓する。セメント製造の未利用排熱で発電して工場の電力に活用する仕組みで、国内での実績は豊富だが欧州はドイツでの1件にとどまる。この1件の長期稼働実績を訴求材料に営業するほか、ウェブセミナーなどオンライン営業を強化する。設計・調達・建設(EPC)を委託するパートナー企業も探す。欧州では日産4000トン以上の中・大規模のセメント工場が11カ国に36カ所ある。これらを潜在顧客と位置付け、欧州で年1、2件の受注を目指す。

川重は2012年、欧州初の排熱発電設備をドイツ南部のセメント工場に納入した。同工場の排熱発電設備の見学受け入れを続けてもらうよう交渉し、安定稼働や性能をアピールする。

川重は国内ではEPCまで手がけるが、欧州では2種類のボイラや蒸気タービンなど主要機器の販売までにとどめる。EPCはパートナーか顧客に任せるため、パートナーを探す。1社と広範囲で組むか、国ごとに地場企業と組むかなど方針を今後決める。

欧州ではここ数年、川重と異なる方式の排熱発電設備の普及が進むが、日産2000―3000トンの中・小規模のセメント工場向け。川重の方式とは対象規模が異なり、すみ分けできるとみる。

排熱発電設備はセメント工場の電力需要の20―40%をまかなえる。川重は世界14カ国の約270カ所で受注実績がある。国内では21のセメント工場に排熱発電設備が設置されており、川重はそのうち12工場に納入した最大手。

日刊工業新聞 2023年02月03日

編集部のおすすめ