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環境負荷低減に注力する金属加工メーカー、社名の「研究所」に込めた意味

環境負荷低減に注力する金属加工メーカー、社名の「研究所」に込めた意味

おがくずなどを再利用して作ったバイオマスプラスチック製品

放電精密加工研究所(HSK)の社名の「研究所」には、モノづくりの課題を解決するとの意味が込められている。2021年度から23年度までの中期経営計画では、資源循環型社会の実現を重点事業の一つに設定。持続可能なモノづくりの実現に向け、環境負荷低減や国連の持続可能な開発目標(SDGs)推進に取り組んでいる。

同社はかねて環境負荷低減に力を注いできた。機械設備事業ではモーターのエネルギーを駆動電源に使う回生機構を持たせたサーボプレス「ZENFORMERシリーズ」を展開。化石資源の代替として、木材や竹などの天然の材料に着目し、21年に混合溶融機や微粉化装置の独占製造販売権などをエムアンドエフ・テクノロジーから取得した。

さらに相模原市で木工所などが排出するおがくずをバイオマスプラスチックとして再利用する取り組みを開始。同市から「さがみはらSDGsパートナー」の認証を取得し、SDGs推進に向けた地域市民への普及啓発イベントにも積極的に参加する。

SDGs推進のためには地域市民の理解が必要と考え、普及啓発イベントにも積極的に参加

工藤紀雄社長は「持続可能な社会に向けて、モノづくり企業として今まで以上に他者との連携は欠かせない」と強調。業界を超えたパートナーシップ構築にも積極的だ。7月からは科学技術振興機構(JST)が「共創の場形成支援プログラム」(地域共創分野)で採択したプロジェクト「デジタル駆動超資源循環参加型社会共創拠点」に参画。慶応義塾大学SFC研究所や鎌倉市などと鎌倉市内の資源循環システム定着を目指す構え。

11月には兵庫県の「豊かな海づくりフェスタ2022」に帝人などと出展。廃棄漁網再生PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂「RE:ISM〈リズム〉樹脂」による3Dプリンター造形など利活用を推進するリズムプロジェクトの活動を紹介した。工藤社長は「今後もさまざまなな取り組みを進めていきたい」とし、持続可能な社会への貢献を目指す。


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日刊工業新聞 2022年12月6日

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