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制御・計測大手が経営指標にROICを導入した理由

3事業の状況見極めROE高める

制御・計測大手のアズビルは2021年度始動の現中期経営計画で初めて、投下資本利益率(ROIC)を経営指標として導入した。同様に重視する自己資本利益率(ROE)を高めるためには、ROICを高めることが根本的な手段と判断した。

同社はビル向けのBA事業、工場やプラント向けのAA事業など3事業体制をとる。BA事業を中心に安定していることで、「借り入れはミニマム」(横田隆幸取締役代表執行役専務)だ。

ROEを高めるには、負債の比率を高める手段があるが、横田専務は「財務レバレッジではROEを高めない」と否定する。借り入れが少ない長所が失われるからだ。そこで、3事業のROICをそれぞれ高める手段を取っている。

3事業は実質、社内カンパニーになっており、どの事業にどれほどの資本を投下したか把握できる。各事業には割り振った資金でしっかり利益を出し、必要以上に使わないよう計画させる。余る場合は本社が引き取り、成長投資や株主還元に充てる。各事業が効率よく利益を上げているかがROICで明らかになる。

ROICは社内向けの意味合いが強く、実績や目標値は公表していない。対外的には、ROEを公表している。20年度実績の10・4%から中計最終の24年度には12%程度に高める。さらに、長期目標の30年度には13・5%程度を目指す。

足元では部品不足・高騰などサプライチェーン(供給網)混乱の影響が出ている。受注が好調な一方、多品種少量のため、部品不足の影響を受けやすい。対策として代替調達に取り組むが、コストが上昇する。程度によっては、ROICにも影響する。

対策として、販売価格の改定を進めている。海外の競合は欧米のインフレを受け、迅速に値上げしているという。事業や製品の在庫によって変わるが、「23年度には効果が出てくる」(横田専務)と見込む。

日刊工業新聞 2022年12月22日

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