台湾TSMCが日本に新工場検討、半導体装置業界の団体トップが語ったこと
半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、日本で2棟目となる半導体工場の建設を検討していることが12日、分かった。同日に開いた2022年12月期決算オンライン説明会で、魏哲家最高経営責任者(CEO)が明らかにした。現在、熊本県菊陽町で建設中の新工場の近隣で建設する方向で検討しているとみられ、25年内にも稼働する可能性がある。
TSMCは、子会社のジャパン・アドバンスド・セミコンダクター・マニュファクチャリング(JASM、熊本市中央区)が、総額約9800億円を投じて、日本で初めての半導体工場を熊本県で建設中で、24年末までの稼働を目指している。JASMにはソニーグループやデンソーも出資しており、それぞれイメージセンサー用や車載用のロジック半導体を調達する。
JASMは需要拡大に対応するため、当初公表していた線幅22ナノ―28ナノメートル(ナノは10億分の1)の製造プロセスだけでなく、12ナノ―16ナノメートルの製造プロセスも加え、月産能力を5万5000万枚に増強する方針を明らかにしている。検討中の2棟目の工場もJASMが手がけると見られる。
日本半導体製造装置協会の牛田一雄会長は同日開いた会見で、「国内の製造装置と材料メーカーにとって、最先端のTSMCと一緒にラインを立ち上げて学ぶ過程が日本にあることに期待が持てる」と歓迎する意向を示した。
TSMCの新工場の建設検討に対しては、政府関係者の期待も大きい。西村康稔経済産業相は先月、一部報道を受けて「(新工場が)検討されていることは歓迎だ。今後投資計画が具体化していく中で、どのような支援が可能か考えていきたい」と話していた。経済安全保障上、半導体の重要性が高まる中で経産省は国内投資を後押ししており、JASMが建設中の工場には最大4760億円の助成を決めている。
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