住宅の生産工場を働きやすい職場に、積水化学が導入を試行する装置の中身
積水化学工業は住宅カンパニーにおけるユニット住宅の生産工場で、作業負荷を軽減する取り組みを加速する。10キログラム以上の重量物を扱う作業を対象に、ホイスト式クレーンなどを改造した助力装置の導入を検討。65歳への定年延長や女性従業員の増加を見越して、すべての従業員が働きやすい環境を整える。九州セキスイハイム工業(佐賀県鳥栖市)で試行し、効果を見て他工場にも展開していく。
積水化学の住宅生産工場ではこれまで、20キログラム以上の重量物を扱う工程には「2人での作業」か「助力装置の活用」の対策を講じてきた。当面は現状で女性が重量物を扱っている工程を優先し、助力装置を導入。今後は定年延長で従業員の平均年齢が上がることも踏まえ、助力装置の導入対象となる工程を10キログラム以上に引き下げることも視野に入れる。
まずは2022年冬に試験導入した助力装置のさらなる改良に着手する。約40キログラムある遮音材を2人で生産ラインに供給する工程で、ここにホイスト式クレーンを設置。同工程を1人で行えるようにしたほか、狭い通路を運ぶことで生じる捻挫などのリスクも軽減した。現場からも好評で一定の効果は出ているものの、もう一段の改良によって使い勝手や生産性を高める。
4―9月には、10キロ―20キログラムの鉄骨を生産ラインに乗せる床工程の一部にも助力装置を入れる計画。足元では1回当たり計7本を2人で1本ずつ運んでいるが、これをホイスト式クレーンなどを使って一度に複数本を運ぶ体制に改める。実際に作業を担う従業員と細かい仕様を詰め、設計に反映。スライドレールや治具は工場の遊休設備を転用し、導入コストを抑える。
九州セキスイハイム工業は、九州エリアに建築するユニット住宅の部品製造とユニットの組み立てを担当している。全従業員195人のうち、製造・物流・検査の各現場で働く従業員は22年12月時点で男性101人、女性9人。派遣社員を除く女性従業員は、16年から段階的に増えている。21年の年間出荷棟数は1098棟。