配送ロボット公道へ、環境整備進むサービスロボ普及へのカギ
サービスロボットを導入しやすい環境の整備が官民で本格化している。経済産業省が旗振り役となり、ロボットとエレベーターの通信連携に必要なシステムの実用化が期待されるほか、公道でのロボット配送サービスに関する法制度が4月までに施行される予定だ。ロボットの社会実装には機能の強化だけでなく、施設内の稼働要件の整理や導入企業の業務見直しも求められる。業務や生活に欠かせない存在として、ロボットの活用拡大を目指す。
経産省はビルや商業施設などを念頭に、ロボットを導入しやすい環境「ロボットフレンドリー」の実現を重視する。清掃や警備、搬送などに使われるロボットが増え、「エレベーターを使ってフロア間を移動する」(ロボット政策室)ことも想定した技術の必要性が高まっている。
経産省の方針に沿って、ロボットのメーカーとユーザーによる団体「ロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)」が2022年に発足。パナソニックホールディングス(HD)や三菱地所、東芝エレベータ(川崎市幸区)、セコムなどが参画し、あらゆる施設へのロボットの導入を狙う。
その一環として、ロボットとエレベーターの連携にかかわるフォーラム規格(正式版の規格)を発行。連携システムの安全性を確保しつつ、コストを抑えて構築することを後押しする。ロボットがエレベーターを乗り降りしながら移動するための環境整備だ。
ロボットの機能が高度化する一方、施設内には“難所”が少なくない。「ロボット特有のバリアフリー」(同)が求められ、エレベーターに加えて、自動ドアや入退館用ゲートと連携する仕組みも必要。経産省は床や壁の材質、各スペースの寸法なども標準化することで、適用範囲が広がるとみている。
ロボットを導入する場合、施設環境に合わせて機能を追加するとコストがかさむ問題がある。これではロボットの普及が十分に進まない可能性がある。施設の設備や業務をロボットに合わせて見直す発想が重要で、導入側の対応が求められている。
また改正道路交通法の施行により、公道でのロボット配送サービスの利用拡大が見込まれる。楽天グループとパナソニックHD、西友は茨城県つくば市で、西友の店舗で取り扱う商品を自動配送ロボットにより対象地域の住民に届けるサービスを22年に実施した。普及に向けては公道などでの安全性の確保がカギとなりそうだ。