大林組が開発、ロックボルト打設を遠隔操作できる専用機「ロボルタス」の全容
山岳トンネル工事向け
大林組は山岳トンネル工事に向け、ロックボルトの打設作業を遠隔操作で行える専用機「ロボルタス」を開発した。削孔からモルタルの注入、ロックボルト挿入まで一連の作業を担う。実証実験と並行して、同社がトンネル工事で先行展開する他の施工技術との連携も検証。トンネル工事全体の生産性向上と40%の省人化により、安全・迅速なインフラ整備を目指す。
今回開発したロボルタスは、同社が山岳トンネル工事の生産性向上を目的に構築する統合システム「OTISM」の一部。作業員は危険な切羽(掘削面)に近づくことなく、遠隔操作で必要な作業を行える。ロックボルトの長さや種類といった条件も設定でき、緊急性の高い設計変更にも対応できる。作業状況はタブレットに表示され、作業員の技量に影響されない安定した施工が可能という。
ロボルタスにより、作業員を従来の5人から3人に減らせる。ブームにはロックボルト20本も収納でき、作業工程を短縮できる。削岩機構には、地山の性状に応じて制御可能なハンマードリル機構を搭載。さらに岩石のサンプルを採取せずに、削孔時のエネルギーを解析して切羽の安全性を評価する「ノンコア削孔切羽前方探査システム」を導入。切羽の安定性を即時に評価できる仕組みとした。
日刊工業新聞 2022年12月27日