トヨタがピックアップトラックの世界戦略車モデル「IMV0」初披露、章男社長が語ったこと
トヨタ自動車は14日、タイのチャロン・ポカパン(CP)グループと、タイでのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向け協業を検討すると発表した。CPが保有する家畜場のふん尿から生まれるバイオガスを活用した水素製造や、コンビニエンスストア事業で使う配送トラックの燃料電池車(FCV)化、物流効率化の取り組みを視野に入れる。
また同日、バンコク市内で開いたタイ現地法人「トヨタ・モーター・タイランド」の60周年記念式典で、タイで開発を手がけるピックアップトラックの新たな世界戦略車モデル「IMV0」と、「ハイラックス」の電気自動車(EV)モデルの試作車を初披露した。IMV0は用途に合わせて荷台を改良しやすくしたモデルで、1年以上先の発売を予定する。式典でスピーチした豊田章男社長は「この二つのコンセプトは、それぞれの役割や顧客ニーズをとらえた、今後あるべきクルマの未来を体現している」と力を込めた。
式典にはタイのスパッタナポン・パンミーチャオ副首相のほか、従業員らトヨタ関係者、販売店や仕入れ先の関係者など計約1500人が出席した。アジア本部長も務めた豊田社長は、IMVプロジェクトへの挑戦について「リーダーシップのあり方など多くを学べた」とし、自らを作り上げた原点の一つだと強調。タイトヨタの歴史を振り返りながら、これまでの車づくりへの理解や協力に感謝した。
来賓としてあいさつしたスパッタナポン副首相は「トヨタと供給網がタイの技術と経済発展を実現した。タイはEV生産への支援も実施している。次世代自動車産業へのシフトでもトヨタをサポートしたい」と述べた。
豊田社長は「カーボンニュートラルの実現には自動車産業を超えて大きな力の結集が不可欠だ。CPグループとの協業も含め、タイに貢献し続けたい」と訴えた。CPはタイ最大級の財閥で、食品や小売り、通信などを事業の柱とする。協業ではいすゞ、スズキ、ダイハツ工業との商用車の共同出資会社「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」のほか、日野自動車も参画を検討する。
トヨタは17―18日にタイで開かれる25時間耐久レースに、水素エンジン車で参戦を予定する。同エンジンを東南アジアで走行させるのは初めて。アジアでも脱炭素化に向けた多様な選択肢を提案する考えだ。(バンコク=政年佐貴恵)
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