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トヨタ社長・デンソー社長が共同委員長、経団連が新設「モビリティ委員会」が担う大役

トヨタ社長・デンソー社長が共同委員長、経団連が新設「モビリティ委員会」が担う大役

会見する(左から)豊田委員長、十倉会長、有馬委員長(9月)

官民が一体となってモビリティー産業の未来を議論する枠組みが9月に動きだした。経団連が新設した「モビリティ委員会」が、その舞台だ。十倉雅和経団連会長に加え、トヨタ自動車の豊田章男社長、デンソーの有馬浩二社長が共同委員長に就任。自動車メーカーや部品メーカーだけでなく石油、素材、金融、電機、旅行、ITといった幅広い業種から200社あまりが参画する。

自動車産業は、日本が“失われた30年”を経験した今も国際競争力を維持する、ほぼ唯一の基幹産業だ。裾野は広く、自動車関連では550万人、鉄道・航空など周辺産業を含むモビリティー関連では850万人の雇用を生み出している。

自動車が一大産業であるとの認識は海外勢も同じ。主要国が規制や法案で自国の車産業の優位性を確立しようとする中、次世代も勝ち残れる日本のモビリティー産業のあり方を見いだすのが、委員会の大きな役割だ。自動車業界としては、経団連を後ろ盾とすることで政府との直接対話もしやすくなる。日本自動車工業会会長も務める豊田社長は「官邸相手に議論ができることは大きな一歩だ」と手応えを示す。

目下の重要テーマはカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)だ。世の大勢となりつつある電気自動車(EV)戦略は着実に進めながら、ハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)といった日本が強みとする技術力を生かせる「多様な手段」こそが脱炭素化を促す、という潮流を生み出すことが喫緊の課題になる。まずは2023年5月に広島で開かれる主要国首脳会議(G7サミット)に向けて提言をまとめる見通し。豊田社長は「日本のカーボンニュートラルを伝える貴重な機会だ」と、とらえる。

委員会は移動サービスなどを含めた次世代モビリティー産業への変革で、雇用を約150万人引き上げられると試算している。日本が持続的に培ってきた国際競争力の最後の砦(とりで)として、実行力が期待される。


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日刊工業新聞 2022年12月8日

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