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「VR+DX=メタバース」メタバースはVRの子孫

おすすめ本の抜粋「トコトンやさしいVRの本 第2版」
技術応用が日々拡大しているVRの中で、大きなトピックになっている「メタバース」。メタバースの波にいま乗れるかどうかで、企業のビジネスは大きく変わることが予想され、主導権争いは激化しています。
また、個人でも参加できるVR空間が増加している中で、NFT(偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ)市場の規模拡大や、アバタ中傷が名誉棄損として認められるなど、VRを取り巻く社会環境も変化しています。
話題になりやすいメタバースについて、書籍『トコトンやさしいVRの本 第2版』から一部を編集の上、掲載します。

メタバースという世界

メタバースとはネットワーク上に展開したVR世界のことです。メタバースという言葉が一般社会に登場するのは、1992年に発表された『Snow Crash』(ニール・スティーヴンスン著)という小説でした。バースとはUniversのように「世界」を表わす言葉であり、メタとは「それとは別の」という言葉ですから、「もう1つの世界」という意味になるわけです。

メタバースは私達の生活を覆うぐらい大きな技術になる可能性をはらんでいます。VR技術に、現在すでに社会環境化しつつあるDX(デジタル変革)技術的要素が追加されたものがメタバースの技術ということもできます。実際、アカウント管理やセキュリティ管理、決済管理などの技術は今のところVR技術には組み込まれていません。逆に、現在のDX技術が進出できない領域、例えば身体性や空間性の要素が非常に強い領域はまだあります。より広汎に社会のデジタル化を推進しようとする場合、DX技術はVR的な要素を吸収していかなければならず、「VR+DX=メタバース」ということになるのかもしれません(図1)。

図1 VR+DX=メタバース

「VRの父」と呼ばれるJaron Lanier氏は、1989年のHMD「EyePhone」のプレスリリースで、「われわれは新大陸を発見した」と述べています。新大陸を活用していくためには様々な視点が必要です。
 活動のための空間や、そこに入り込むための身体(アバタ)などはVR領域の話題ですが、人々の活動には価値の交換が伴います。そのため、電子空間における通貨などの話題が含まれるため、メタバースといえば仮想通貨やブロックチェーンなどの新しい技術に対する視点も重要です。特にバーチャルな商品に価値を与えるNFTなどは、現在多くの人々の興味を集めています。当然何らかのルールが必要になり、現実世界と異なった制度設計が必要になるのか否か、この境界領域が注目されています(図2)。

図2 メタバース概念の広がりと様々な話題
●メタバースとは「もう1つの世界」
●VRとDXが互いの技術を補い合う
●「新世界」での勝ち組が経済を支える

(「トコトンやさしいVRの本 第2版」p.134-135より抜粋)

<販売サイト>
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Rakuten ブックス
日刊工業新聞ブックストア

<書籍紹介>
書名:今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいVRの本 第2版
著者名:廣瀬通孝 監修、東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター 編著
判型:A5判
総頁数:160頁
税込み価格:1,760円

<目次>
第1章 VRって何だろう
第2章 VRと五感の科学
第3章 VRが可能にする新しいインタラクション
第4章 時間と空間を超える
第5章 VRの周辺技術
第6章 VRの可能性
第7章 メタバースという世界

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