ロボハンドの「動き」「変形」、イオン導電性高分子センサーで検知
産業技術総合研究所の杉野卓司研究グループ長と物部浩達主任研究員、堀内哲也主任研究員は立命館大学と共同で、イオン導電性高分子センサーでソフトロボットハンドの動きや変形を検知することに成功した。ハンドのつかみ動作やつかみ損ねを判定できる。食品のハンドリングなどへ提案していく。
イオン導電性高分子を変形させると内部のイオン分布に偏りができる現象を利用する。イオン電解質ゲル膜の表と裏に金をメッキし、電極間の電圧を計測する。ゲル膜が曲がると縮んだ側から伸びた側にイオンが移動し電位差が生じる。
空圧式のソフトロボットハンドに搭載するとハンドが曲がった瞬間の振動や屈曲量に応じて電圧が変化した。ハンドが対象をつかむ動きや、つかんだ後に対象が滑り落ちた振動などを捉えられた。
圧電式のセンサーは変形速度を測るため、つかんで静止した状態を判定しづらかった。新センサーは静電容量式のセンサーよりも感度が高い。ソフトロボットハンドは食品などの不定形物の扱いに向く。食品包装などの自動化に提案していく。
日刊工業新聞 2022年12月02日