大林組が開発した、天井照明型手術室「オペルミ」の全容
大林組は大阪大学大学院の医学系研究科と共同で、天井全面に無影灯と同等の機能を持たせた手術室を開発した。指示に応じて自動で照射角度を変える72基のライトと、手術室全体を均一に照らす面発光の特殊パネルで構成する。病棟の他フロアと同じ天井高にできるため、フロア設計の自由度が高まる。空調の気流を妨げる無影灯をなくすことで、清浄な手術環境を維持する効果も見込む。
無影灯が不要な天井照明型手術室「オペルミ」として展開する。無影灯のある従来の手術室は天井が3000ミリメートルと他フロア(2600ミリメートル)より高くなるため、設置フロアに制限があった。天井高を同一にしたことにより、病棟全体の建設コストを下げる効果も見込める。天井に空調を組み込むことで、照度と良好な手術環境も確保。無影灯の熱が医療関係者に与える悪影響もなくせる。
ライトは1基ごとに照射する角度を指示でき、手術台のどの地点でも焦点を合わせられる。複数の方向から照射することで手や器具の影を分散・希薄し、死角を減らして高い照度を確保する仕組み。
今後はタブレット端末からの操作指示や、執刀医の動きに合わせた自動追尾といった機能の導入も検討。これに天井全体に設ける面発光の特殊パネルを組み合わせ、無影環境を再現する。先端医療環境の開発で将来の受注につなげる。
日刊工業新聞 2022年11月28日