天井クレーン自動化、大林組が開発した後付けシステムの仕組み
大林組は天井クレーンへの後付けにより、揚重・運搬作業の自動化と遠隔操作を可能にする「天井クレーン自動運転システム」を開発した。建設現場のコンクリートプラントのほか、主に定点間を移動する天井クレーンやクラムシェル(貝殻形状のバケットで土砂をつかむ掘削機)を用いる揚土作業などへの展開を想定する。複数のクレーン作業を一元管理したり連携させたりすることも可能で、省人化による生産性向上につなげる。
既設の天井クレーンにレーザースキャナーセンサーを後付けし、クレーンの位置を把握できるようにした。目的地の位置情報を入力すれば、揺れにくい速度で自動で動く。
併せて、深度計測センサーとカメラ映像で対象物までの距離を可視化。吊り荷の形状や容量を把握して自動運転する仕組みを構築した。現場事務所や会議室、個人のデスクからの遠隔操作もできる。
まずは建設現場のコンクリートプラントで、砂や砂利など異なる種類の骨材を容器(ホッパー)に投入する天井クレーンに適用。ホッパー内の骨材が一定量を下回ったことを検知すると、クレーンが自動で骨材の貯蔵場に移動、骨材をくみ上げてホッパーに投入する。従来はオペレーターとプラント管理者の計2人が手動で行っていた作業が、管理者1人で対応できるようになるという。
日刊工業新聞 2022年10月26日