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分類精度83.87%、出生につながる良好な受精卵評価するAIの価値

近畿大学の山県一夫教授、慶応義塾先端科学技術研究センターの徳岡雄大研究員と慶大の舟橋啓教授、山田貴大専任講師、東京大学の小林徹也准教授らは、深層学習を用いてマウス受精卵の細胞分裂を連続的に撮影したデータから高精度に出生予測をする人工知能(AI)の開発に成功した。出生予測の分類精度は83・87%と高いことが分かり、体外受精の胚評価での基盤技術としてヒトの生殖補助医療などへの貢献が期待される。

研究チームが構築したAIのアルゴリズム、ノーマライズド・マルチビュー・アテンション・ネットワーク(NVAN)はマウス胚の多変量時系列データから出生予測する。NVANは四つの処理で構成され、妊娠に至った胚62個と流産した胚29個の形態から出生に寄与する特徴のみを積極的に学習する。NVANは胚培養の経験者の目視検査による分類(64・87%)の出生予測を超える精度を達成できたという。不妊治療現場では胚培養士が目視で受精卵の質を評価している。今後はヒトの受精卵への応用で生殖補助医療による妊娠率向上のほか、ウシなどの家畜動物の生産分野で貢献できるとみている。成果は英学術誌電子版に掲載された。

日刊工業新聞 2022年11月18日

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