老朽ビルをスマート化、竹中工務店が改修したモデルビルの全容
竹中工務店は築23年の「竹中セントラルビルサウス」(東京都江東区)を改修し、スマートビルとして運用を始めた。独自の建物向け基本ソフト(OS)「ビルコミプラス」を実装し、建物の脱炭素化につながる運用・管理に取り組む。同ビルで関連する先端技術の開発と実証を続け、老朽化した既存ビルをスマートビルに刷新したモデルケースとして活用する。
改修に当たり外装の高性能化と高効率熱源の導入のほか、照明の発光ダイオード(LED)化や外気導入量の制御、太陽光発電と自然換気を導入した。二酸化炭素(CO2)排出量は改修前の約半分に低減できる見通し。各種設備データをビルコミプラスと接続し、ビルの運用開始後もCO2排出量のさらなる削減を目指す。
併せて建物内にいる人の位置や服装の情報を人工知能(AI)カメラの画像解析によって取得。環境センサーのデータも利用し、空調の吹き出し口や自然換気口を自動で開閉する仕組みも導入した。これら情報を活用し、視環境や温冷感に配慮した照明や空調制御の実証も想定。設備管理や警備、清掃業務にロボット活用も検討する。
同ビルは鉄鋼造の7階建てで、改修後の延べ床面積は約1万2700平方メートル。竹中工務店が2021年9月―22年7月に改修工事を行った。同社の東京本店近くに立地し、グループ会社7社が拠点を置いている。
日刊工業新聞2022年10月19日