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脱炭素どうする…自動車部品メーカーたちのあの手・この手

脱炭素どうする…自動車部品メーカーたちのあの手・この手

CNFを配合したコンテナに製品を詰める従業員(豊田合成・平和町工場)

自動車部品メーカーでカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目指す取り組みが活発化している。事業の強みを応用したり地域と連携を深めたりと、戦略の方向性はさまざま。二酸化炭素(CO2)の排出規制などを受け、自動車メーカーは部品メーカーにCO2削減の強化を求めることが想定される。製品供給を続けるためにも、部品メーカーの脱炭素化は避けて通れない。(名古屋・川口拓洋)

【豊田合成】コンテナに植物素材配合

豊田合成は9月から、植物由来の素材「セルロースナノファイバー(CNF)」を配合した強化プラスチック製の製品運搬コンテナ(通い箱)の運用を平和町工場(愛知県稲沢市)で開始。ポリプロピレン(PP)製コンテナにCNFを配合することで従来比6%の軽量化に成功。4年使用するとCO2を6%削減できると試算する。

開発本部材料技術部の栗本英一部長は「サーキュラーエコノミー(循環型経済)を目指す。2025―30年に自動車部品として提案したい」と話す。CNFの強度などを通い箱で確認し、自動車部品への採用の足がかりにする方針だ。

同社は樹脂やゴムなど高分子材料が強みだが、これらは分解が難しくリサイクルにはコストがかかる。材料の再利用や自然由来の素材を混ぜ込むことで、新たな付加価値の創出とCO2削減を両立する。「カーボンニュートラルは避けて通れないからこそチャンス」(栗本部長)という。

【三ツ知】水素燃料でも自家発電

「安くても、環境に配慮していない企業の製品は買ってもらえなくなる」と危機感を語るのは、自動車向けファスナーを手がける三ツ知の中村和志社長だ。同社は22年から脱炭素の取り組みを本格化した。

まず目をつけたのがサボテンだ。拠点を置く愛知県春日井市はサボテンが特産品。CO2の吸収も期待できるため、同社は玄関や屋上など6カ所に花壇を設置、計20本を植えた。「今後はサボテンによるCO2の吸収量を内外に提示する」(中村社長)。次の一手として、CO2を出さない水素燃料による自家発電で機械設備を動かすことも検討する。 

このほか東海理化は新規事業として、月400キログラムに上るシートベルト端材を活用した民生品のブランドを立ち上げた。トヨタ紡織も端材を活用した製品の展開や食品廃棄物をバイオガス発電機の燃料にするなど、環境負荷軽減につながる多様な一手を打っている。

自動車業界では、トヨタ自動車が21年に取引する主要部品メーカーに対し、CO2排出量を前年比3%程度削減する目標を示すなど、サプライチェーン(供給網)全体でCO2排出量を減らす動きが広がっている。環境負荷低減への対応度合いが、部品各社の競争力の一つになりつつある。


トヨタ・ルネサス・テンセントの関係者らが語るモビリティーの未来
日刊工業新聞2022年10月20日

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