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船上ゴミをバイオ燃料化、日本郵船などが実用化へ

船上ゴミをバイオ燃料化、日本郵船などが実用化へ

甲板で保管されたゴミ。45日間の航海で約5000リットル発生する

日本郵船は液化石油ガス(LPG)商社のアストモスエネルギー(東京都千代田区)、再生可能エネルギーの発電・燃料化設備を手がけるサステイナブルエネルギー開発(仙台市青葉区)と共同で、船舶の運航中に発生した廃棄物などからバイオ燃料を生成する実証実験を始める。廃棄物をバイオ燃料に変える装置を船舶に積み込んで処理する。2023年から船舶で1年程度実証し、実用化を検討する。

可燃ゴミなどを亜臨界水で高圧処理してバイオ燃料を生成するシステムを船舶用に開発する。バイオ燃料は発電所などに売却することを想定するが、将来的にはバイオガスを生成して船舶用に利用することも考えている。

日本郵船によると例えば大型のLPG船で日本―中東を往復した場合、約45日間の1航海でプラスチック類を中心に約5000リットルのゴミが発生するという。船舶で発生したゴミは船上の甲板で容器に入れて保管され、寄港地において有料処分するが、引き取りができない寄港地も多い。

処理後のバイオ燃料をエネルギーとして活用できれば、海上輸送全体での二酸化炭素(CO2)排出量を削減できるだけでなく、船上の保管場所も小さくでき船員の労働環境の改善にも貢献する。日本郵船の西島裕司執行役員は今回の取り組みを通じ、「安定的で環境に優しい輸送を推進したい」と述べている。

日刊工業新聞2022年10月17日

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