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ノーベル物理学賞に米欧3氏、量子計算機の礎築く

ノーベル物理学賞に米欧3氏、量子計算機の礎築く

(右)アラン・アスペ氏、(中央)ジョン・クラウザー氏、(左)アントン・ザイリンガー氏

スウェーデン王立科学アカデミーは4日、2022年のノーベル物理学賞をパリ・サクレー大学のアラン・アスペ教授(75)と米国のジョン・クラウザー博士(79)、オーストリア・ウィーン大学のアントン・ザイリンガー教授(77)に贈ると発表した。授賞理由は「量子もつれの理論と技術の構築」。量子コンピューターや量子通信などの量子技術の基礎を築いた。

12月10日にはストックホルムで授賞式を行う。賞金として1000万スウェーデンクローナ(約1億3000万円)が贈られる。

3氏は量子論で重要な「ベルの不等式」の破れを示した検証実験で知られる。量子光源と偏光フィルターなどを駆使して量子もつれ状態にある光子を測定した。実験でベルの不等式が成り立たないことを示すも、抜け穴があった。抜け穴をふさぐ実験を重ね、ベルの不等式の破れを立証した。量子力学に隠れ変数はなく、正しいと確かめられた。

アントン・ザイリンガー教授は量子状態を離れた別の粒子に移す量子テレポーテーションを実証した。光子や電子を物理的に届けなくても情報を送れることを示す。地上と人工衛星の間でも実証され、量子技術で新時代がくると期待される。

日刊工業新聞2022年10月5日

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