VRで小児弱視を治療できるか、住商などアプリ開発に挑む
住友商事とInnoJin(東京都文京区)、イマクリエイト(同品川区)は29日、仮想現実(VR)を活用した小児の弱視患者向け治療用アプリケーションを共同開発すると発表した。VRゴーグルで弱視眼側に実像を、健眼に不鮮明画像をそれぞれ表示することで、健眼を覆い、弱視眼の視力発達を促すアイパッチ治療と同等の効果を目指す。2025年度に薬事申請し、27年度には販売を始める計画だ。
VR弱視治療用アプリは視力の回復が見込める10歳頃まで対象としており、ゲームや動画視聴など子どもが夢中になれるコンテンツを通して治療する。住友商事がプロダクトマネジメントや戦略立案を、InnoJinが医療・ヘルスケアに関するITを、イマクリエイトがVR技術をそれぞれ担当して開発を進める。すでに臨床研究用が完成している。
治療用アプリは治療・予後のために使用されるため、医学的根拠が必要だ。医療機器として認められ、医療保険から支払われる。一方、弱視とは視力の発達が障害されて起きた低視力で、子どもの約3%が罹患(りかん)する病気だ。年間約3万人のペースで患者が増加している。
日刊工業新聞2022年9月30日