セルフジムで導入増、AIシステムが両立する効果
フィットネスジム市場の中で、小規模型のセルフトレーニングジムが堅調だ。Opt Fit(オプトフィット、名古屋市中区、渡辺昂希最高経営責任者〈CEO〉)は、人工知能(AI)を用いた監視カメラでジムの安全監視サービスを提供している。監視業務などの運営コスト削減と利用満足度を両立するとして、1月に投入以来、導入実績は10社・100施設に上る。今後はさらなる分析精度の向上と他業種への展開を目指している。
小規模型のセルフトレーニングジムは24時間営業も多く、低価格で利用できるのが魅力。半面、ジム運営事業者にとっては24時間営業で、多店舗展開しながらスタッフの人件費などコスト抑制が課題。また、重量のある器具を使った運動を行うこともあり、万一の事故に備えた安全対策は欠かせない。
オプトフィットが「GYMDX」の名称で提供する24時間AI監視カメラによる安全監視サービスは、映像に映る利用者の動きを分析し、異常と判断すると管理者に通報する仕組み。転倒していたり、一定の時間が経過しても動かなかったりする人を検知するとアラートを通知し、監視センターの要員が危険の有無を映像で確認。状況に応じて救急車の手配などを行う。
最終判断を人間が行っているように、現在のところ「AIがすべてを判断するのは難しい」(渡辺CEO)段階。人の状態検知がメーンで、具体的には「座っている」「横たわっている」「立っている」という状態はAIで検知可能という。
遠隔監視が可能なため、スタッフの削減など現段階でも一定のコスト低減効果を発揮。映像からトレーニング機器の利用状況を把握し、購入判断の材料にするなど効率化に役立っている。
引き続き、危険行動など収集した映像データを活用して「より細かい動作をAIに学習させて精度を高めていく」(同)。安心、安全な営業の無人化を目指し、危険の未然防止、兆候検知へと発展させ、ジム運営コストの削減と安全、安心という利用満足度向上の両立を進化させる。
AIを活用した安全、見守りに関する知見を基に、将来は他業種への応用を視野に入れている。高齢者向け介護施設や工場で応用が可能と見込む。「人が携わらなくてもいい領域で活用の幅を広げていきたい」(同)と普及に拍車をかける。業種に応じた人の動作特性のデータ収集に取り組むため、今後はさまざまな業種で概念実証(PoC)に取り組んでいきたいとしている。(名古屋・鈴木俊彦)