いすゞが欧州の販売網再編、シェア拡大につなげられるか
いすゞ自動車は今秋にも欧州の販売網を再編する。ドイツとベルギーの販売会社の運営を実質的に統合。ディーラーの大規模化を進め、経営効率を高めるとともに、2販社が展開する欧州合計8カ国の販売・サービス事業強化につなげる。いすゞの世界販売に占める欧州の割合は5%程度にとどまる。脱炭素で電動トラックなど商用車の技術革新が進む中、顧客ニーズを迅速につかみ、欧州でのシェア拡大につなげる。
いすゞ車の輸入・販売を手がけるドイツの「いすゞセールスドイチェランド」をベルギーの「いすゞベネルクス」の子会社にする。両社はそれぞれ欧州4カ国で輸入・販売を展開するいすゞの合弁企業。欧州競争当局の承認を得て、販売体制の再編を完了する考え。
いすゞセールスドイチェランドは2006年設立。三菱商事が80%、いすゞが20%を出資する。ドイツ、オーストリア、チェコ、スロバキアの4カ国で展開し、21年には約1054台を販売した。
いすゞベネルクスは05年に設立され、スペイン系のアスタラ子会社が80%、三菱商事が10%、いすゞが10%を出資する。ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、ポーランドの4カ国で事業展開する。21年の販売台数は約380台。
両社が輸入・販売する人気のピックアップトラック「D―MAX」はタイで、小型トラック「Nシリーズ」(日本名「エルフ」)は日本で生産しており、販売体制を再編することで効率的に輸入・販売ができる体制を構築する。輸送・管理コストの削減につなげる。
いすゞは、22年3月期に欧州でピックアップトラックと派生車(LCV)を前年同期比18%増の約1万3000台、商用車(CV)を同63%増の約1万8000台売り上げている。ともに英国やイタリアでの売上比率が高い。今回の統合によって、欧州の販売体制をテコ入れしたい考え。