走行支援システム搭載EVトラック事業化に乗り出すサニックス、描く展望
サニックス(山形市、佐藤啓社長)は、小型ディーゼル発電機と制御装置で構成する走行支援システムを搭載した電気自動車(EV)トラックの事業化に乗り出す。運輸業のドーシンキャピタル(大阪府八尾市、安田猛社長)と組んで、新会社を5月に立ち上げた。山形大学アントレプレナーシップ開発センターが事業計画策定や資金調達などを助言し、事業化支援を実施する。
新会社は「PRE―EV モビリティ」。資本金は1千万円。社長にはドーシンキャピタルの安田氏、会長にサニックスの佐藤氏が就いた。本社はサニックス本社内に設けた。新会社はサニックスと山形大などが2019年度から取り組んでいる環境省の「CO2排出削減強化誘導型技術開発・実証事業」での成果を事業化につなげる役割を担う。
新会社はサニックスなどが開発した「計画発電蓄電制御技術(SGCCS)」を核とした各種事業を展開する。SGCCSは、目的地までの走行に必要な電力を独自の車載コンピューターで計算。車載電池にためた電気が足りない場合、発電機を稼働し必要量を蓄電して使う。すでに、プラグインレンジエクステンダー(PRE)EVトラックと呼ぶ実験車による公道での走行データの蓄積を開始。データを活用し、制御技術を高度化する。
今後は22年度中に冷凍に必要な電力を加味したSGCCSの機能向上による冷凍トラック(4トン)の開発、23年度には経済性確保に向けて10トン車の開発など車両のバリエーションを広げる考え。(山形)
日刊工業新聞2022年7月22日