変わる検定試験、「日商簿記」ネット受験など利便性向上

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各検定試験の最優秀合格者(前列左から2番目は三村明夫日商会頭)

働きながらスキルを獲得する手段として検定試験は知られているが、試験科目や受験スタイルは時代の要請で変化を続けている。「日商簿記」など多くの検定試験を提供する日本商工会議所に、スキルアップへの有効な活用策を聞いた。

6月に日本商工会議所で各検定試験の最優秀合格者を集めた表彰式が開催された。リテールマーケティング(販売士)1級で最優秀だった河合真人さんは、名古屋のカメラ専門店の店長を務めている。「3年計画を立て、仕事の隙間時間を見つけて勉強をした。社内で1級を持つのは私1人。課長から次長に昇格もできた」と、努力が会社からも評価された。

日商PC検定(データ活用)1級の最優秀者、杉沢友美さんは民間の職業訓練施設でアシスタント講師をしている。「子育てをしながらなので、早朝5時起きで勉強時間を確保した。今はパートタイム勤務だが、いずれはフルタイムになろうと思っている。今後も新しい検定にチャレンジしたい」と仕事に直結する資格取得を進める考え。いずれもスキルを向上させ仕事に好影響を及ぼしている。

日商は2020年に検定試験にオンライン型を追加した。例えば最も受験者の多い日商簿記検定は、それまでは年に3回決まった会場で受験するスタイルだったが、2級、3級は原則毎日ネット試験会場で受けられるようにした。

「もともと検討していたが、コロナ禍で実施に踏み切った。ネット受験はその日に合否が分かる。気軽に受けられる環境を整備した」(高野晶子日商事業部副部長)という。

日商が提供する検定試験の中でも簿記は最も受験者数が多い。経理業務に携わる人だけでなく、営業や販売促進などさまざまなビジネスの場面で数字を読める人材が求められているからだ。

21年度の簿記受験者は約60万人と過去6年間で最多となった。前年に一部試験が中止となった反動もあるが、ネット受験導入効果も表れていると言えそうだ。

日商は会計業務の電子化に対応した「電子会計実務」や「日商原価計算」など会計実務をさらに深掘りした検定も提供している。

またデジタル化に対応したものとして「日商PCデータ活用」は、データの活用と分析を行うスキルを問うもの。人工知能(AI)やITのスペシャリスト育成の基本スキルとして注目されているという。

日商は今後自宅で受験できる仕組みの導入など、さらなる利便性向上を検討している。政府も「人への投資」を掲げ、個人のスキルアップ支援を拡充する考え。検定試験などがより気軽に受けられるようになれば、個人のスキル獲得にも役立ちそうだ。 

日刊工業新聞2022年7月19日

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