Google系が開発した“赤ちゃん”AIの実力
米グーグル系の英ディープマインドは、ボールなどが動く映像を見せることで、生後間もない赤ちゃんのように、現実世界の基礎的な物理法則を少しずつ理解していく人工知能(AI)プログラムを開発した。ボールの次の動きまで予測するようになり、生後3カ月程度の乳児の知識に相当するという。
人間の赤ちゃんや幼児がどうやって学習していくかなど認知科学の研究に役立てられるという。成果は英科学誌ネイチャー・ヒューマンビヘイビアーに掲載された。
「PLATO」(自動コード化・物体追跡による物理特性学習)と名付けたこのソフトウエアモデルでは、位置や速度など物体の物理的特性について、プログラムが内部での表現や解釈を展開していくよう設計。斜面をボールが転がったり、二つのボールがぶつかって跳ね返ったりといった映像を見せる試験を何十時間も実施した。すると、動画の次の場面や、違った状況で物体がどういう振る舞いをするか予測する能力を獲得した。繰り返すごとに予測が正確さを増していったという。
特に物体が突然現れるのではなく、ある場所から連続した軌跡をたどって別の場所に至る連続性、二つの物体が互いに貫通せずに存在する固体性、物体のもともとの形状が変化しない持続性、といったパターンをAIが学び取ったとしている。
日刊工業新聞2022年7月19日