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携帯販売代理店、オンライン接客を推進する背景事情

拠点開設/コールセンター連携
携帯販売代理店、オンライン接客を推進する背景事情

オンライン接客中のスタッフ(ティーガイア提供)

携帯電話販売代理店大手が、携帯の初期設定などの説明を遠隔で行うオンライン接客を加速している。コネクシオは、オンライン接客を担うスタッフが駐在する「オンラインセンター」を7月に東京で新設。ティーガイアは約100店舗でオンライン接客を導入している。携帯通信事業者がオンライン専用プランを拡充しており、販売代理店各社は通信大手からの手数料収入が減少傾向にある。人員の効率化を図り、収益向上につなげたい考えだ。

オンライン接客では、実店舗への来店客に対し、別拠点にいるスタッフが遠隔で携帯電話の初期設定の説明や操作案内を行う。従来は、店舗スタッフが対面で来店客の初期設定などを支援していた。オンライン接客の導入により、スタッフは複数店舗の来店客への対応が可能となり、人員効率化につながる。コネクシオやティーガイアは、NTTドコモの携帯販売代理店舗で、このオンライン接客を導入している。

コネクシオは、ドコモショップの事務所や会議室などの空きスペースを活用し、2021年度までに神奈川、茨城、大阪の3拠点でオンラインセンターを開設していた。対応店舗の拡大に伴い、7月に東京でも新たに同センターを開設した。コネクシオが直営するドコモショップ約250店舗のうち、半分弱でオンライン接客に対応している。

ティーガイアは、同社傘下でコールセンター事業を手がけるPCテクノロジー(東京都台東区)の拠点と店舗をつなぐことで、オンライン接客に対応している。ティーガイア直営のドコモショップ222店舗(3月末時点)のうち、約100店舗で導入中。将来はパートナー代理店などにも拡大したい考え。

携帯通信大手は、政府の携帯料金引き下げ要請を受け、オンライン専用の料金プランを拡充。これに伴い、販売代理店に支払う手数料を絞ってきた経緯がある。販売代理店は手数料収入の減少を受けて、より効率的に店舗経営を行う必要性が高まっている。オンライン接客は、こうした事業環境の変化を踏まえた携帯販売代理店の取り組みと言える。

現時点でコネクシオとティーガイアはオンライン接客の対象業務を、携帯電話の初期設定や操作案内など、契約・販売に当たらないものに限定している。セキュリティーの観点から顧客管理システムのデータを販売店舗外に持ち出すことが難しいことが背景にある。また、携帯電話の販売時には契約者の本人確認が必要なことも理由の一つだ。今後、オンライン接客の範囲を広げていけるか注目される。

日刊工業新聞2022年7月15日

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