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従来法の10倍以上、二硫化タングステンの大面積薄型結晶を実現した合成法の仕組み

岡山大が開発
従来法の10倍以上、二硫化タングステンの大面積薄型結晶を実現した合成法の仕組み

二硫化タングステンの大面積単層結晶(岡山大提供)

岡山大学の鈴木弘朗助教と橋本龍季大学院生、林靖彦教授らは、二硫化タングステンの大面積薄型結晶の合成法を開発した。厚みは原子三つ分で500マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以上の大きさの単層結晶が得られた。従来法の10倍以上大きくなった。1ミリメートルを超える巨大結晶も作製可能。センサーや発光素子などへの応用を提案していく。

二硫化タングステンの遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)を作製する。タングステンは金属塩を基板に塗布し、硫黄は有機硫黄として供給する。これを2枚の基板を重ね合わせた極めて狭い空間で反応させた。化学気相成長法では数十マイクロメートルの結晶しか得られなかったが、新手法は500マイクロメートル以上の単結晶が得られた。

単層TMDCは直接遷移型半導体になる。実際に電界効果トランジスタとして動作し、光応答することも確かめた。二硫化モリブデンと二硫化タングステンが面内接合した薄型結晶も作製できた。発光素子や発電素子への応用を目指す。

日刊工業新聞2022年7月12日

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