働く場所を社員が選べる制度を導入したメルカリ、CHROが語る効果
メルカリは、働く場所を社員が自由に選べる制度に移行した。2021年9月に導入した制度「ユア・チョイス」では、社員それぞれがオフィス出社かリモートワークが選べるほか、日本国内であれば働く場所、住む場所はどこでも認められる。IT人材の不足が進む中、多様な働き方ができる点を訴求し、人材獲得競争で優位に立ちたい狙いがある。
「現在、入社する人の1割くらいはメルカリの拠点がない地域に居住している」。木下達夫最高人事責任者(CHRO)はユア・チョイスの効果についてこう語る。
同社は以前、拠点が通勤圏内の居住者の採用を前提としており、通勤圏外の居住者が入社する場合は引っ越す必要があった。このため「あるデータベースによると、ソフトウエアエンジニアなど、当社がターゲットにしている人材層の中の3割はリーチできていなかった」(木下CHRO)という。同制度の導入で、「住む場所」の制限を取り払い、IT人材の応募者数増を見込む。
ユア・チョイスの導入は、生産性や社員のエンゲージメント(愛着)向上にもつながる。同社が定期的に実施している社員アンケートによると、同制度導入後、8割の社員が「生産性が上がった」と回答。「コロナ禍前と比べてエンゲージメントは高まっている」(同)ことも確認した。
元々、新型コロナウイルス感染拡大以降リモートワークを推奨。ただ、感染拡大の状況を鑑みながら、オフィス出社も認め、社員個人がオフィス出社かリモート勤務か選べるようにしていた。自分自身で働く場所を選択できるという安心感は、社員にとって大きい。
リモートワークの弊害として挙げられることが多い、社員間のコミュニケーション不足にも対応。ランチ交流会を開催したり、共通の趣味や属性を持つ社員同士が集まるコミュニティー「オンライン部活」を支援したりしている。社員間の交流促進が、多様な働き方を支えている。