生保大手が相次ぎ実証、「メタバース」は顧客つなぎ止めの切り札になるか

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明治安田生命は契約者がメタバース上でゲームなどを楽しめるイベントを行う(画像はイメージ)

生命保険大手がバーチャル空間上で顧客との接点づくりに動いている。日本生命保険は、事業所をまわる職域分野でバーチャルの保険販売員が登場するタブレット端末を客先に配置し、顧客と会話する実証実験を実施。明治安田生命保険は、仮想空間(メタバース)上で顧客を集めた健康関連イベントを7月22日から開く。新型コロナウイルス感染症の完全な収束が見通せない中、非対面での接点をつくり、顧客との関係性構築を狙う。(大城麻木乃)

日本生命は、職域の客先の食堂前にタブレットを設置し、「アバター職員、花ちゃん」という名称のバーチャル保険販売員が登場する実証実験を今春、実施した。通りすがりの人に「こんにちは」などと挨拶し、質問があると遠隔にいるリアルの保険販売員がアバター越しに受け答えする。

「目新しさから人が集まり、客寄せには効果があった」(広報担当者)という。実証実験はあくまでも顧客との接点づくりが目的で、本格的に保険は販売していない。コロナ禍で人の出入りを制限する企業が増え、職域分野は苦戦を強いられる中、バーチャル販売員が顧客をつなぎとめる切り札となるのか。同社は実験を重ね、可能性を探る。

明治安田生命は、7月22―8月5日、仮想空間上にサッカースタジアムを設け、保険の契約者が自分のアバターをつくってゲームをしたり、Jリーグを観戦したりできるイベントを企画する。契約者の健康増進を促す「健活プロジェクト」の一環だ。

リアルの開催ではイベント会場周辺の契約者しか参加できないことも多かったが、「バーチャルなら全国どこからでも参加できる」(広報)ことが利点だ。同社は最大ログイン数10万人を想定し、準備を進める。

メタバースの事業開発支援を手がけるPwC Japanグループ(東京都千代田区)によると、将来的に保険会社は仮想空間上で没入型の体験を通じて保険ニーズを喚起したり、アバターを通じて顧客とのコミュニケーションを図ったりするようになる見通しだ。すでに損害保険業界で先行して取り組みが始まっており、今後、生保業界でも仮想空間を巡る動きが活発化しそうだ。

日刊工業新聞2022年7月5日

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