災害査定をデジタル化、生産性を10倍向上させる二つの技術
九州地方整備局は、災害被害の査定のデジタル化を進める。市販の360度カメラやスマートフォンで画像や点群データを集め、調査の安全確保や迅速化につなげる。2021年12月に鹿児島県と熊本県で実証済み。実際の災害査定で運用を始める。
5月末に局内や自治体を対象に全国初の技術研修を開いた(写真)。自治体による補助金申請の効率化も見込む。
活用技術は大きく二つ。災害現場の実態把握には360度画像を、地形変化といった数値計測に点群データを用いる。計測装置を飛行ロボット(ドローン)などと組み合わせて作業を効率化する。従来比で「約10倍の生産性向上になる」(同局)という。
技術のうち「バーチャルツアー」は360度写真を基に画面上で災害現場を自由に移動できる。点群クラウドはインターネット上にデータを保存することで利用時に高性能機器を不要とした。
今後も研修会の開催を重ねて局内で技術を広げる。そのほか自治体とも技術を共有し補助金申請のデジタル化を実現する。
日刊工業新聞2022年6月10日