全国初のロボットリハビリテーション、開設7年の今

最適難度で正確に反復

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mediVRの「カグラ」は、仮想空間上の狙った位置に手を伸ばす動作でリハビリを行う

佐賀大学医学部付属病院(佐賀市)の先進総合機能回復センター・リハビリテーション科は、リハビリテーションロボット治療の先進拠点。理学療法士などがロボットと連携して患者に寄り添う。脳卒中、脊髄疾患、失調症、高次脳機能障害などによる機能障害に対して評価や回復訓練を担っている。(西部・勝谷聡)

佐賀大医学部付属病院が、全国初のロボットリハビリテーション外来を開設したのは2014年。現在、県内外から年間約900人が通院する。リハビリロボットは、手や脚の関節の曲げ伸ばしを補助する医療機器から、歩行訓練支援ロボットまで多種多様だ。

同院は01年、筋電義手による上肢リハビリ治療を全国に先駆けて開始した。サイバーダインの装着型サイボーグロボット「HAL」やホンダの歩行アシストロボット、トヨタ自動車のパートナーロボット、フランスベッドのNESS・H200、帝人ファーマ(東京都千代田区)のウオークエイドなど約12種類を導入し、ロボットリハビリを実施している。

「新しいリハビリロボには患者さんもわくわくします」と話す浅見教授と医療用「HAL」

21年には「HAL」をよりリハビリに適した医療用下肢タイプに変更。加えて佐賀県の介護ロボット利活用推進事業に、mediVR(大阪府豊中市)の仮想現実(VR)を活用した運動療法機器「カグラ」を導入するなど、ロボットリハビリをさらに進化させた。

リハビリロボットは患者にとって、目的の動作を最適な難易度で正確に反復運動することにメリットがある。佐賀県介護ロボット普及コーディネーターの佐藤健仁氏は一例として「60代の男性患者は約5週間のリハビリで、車椅子からの立ち上がりが楽になるなど活動範囲が広がった」と説明する。訓練の具体的な結果はデータ化してフィードバックされる。スタッフにとっても効率良いサポートが可能になる。

他方でリハビリロボットの導入は、病院経営にとって経済的な負担が大きい。機種によるがレンタル料は最大で年間数百万円に及ぶ。しかし、16年に医療用HALも筋ジストロフィーなど八つの疾患で保険適用となった。

さらに20年にはロボットリハビリにかかる診療報酬が改定されたことで、同ロボットが医療保険における加算対象となるなど利用しやすくなった。

同院でリハビリロボットの導入を進める浅見豊子診療教授は「リハビリは、自分がやる気にならないと効果が出ない。より歩きやすくなることや、楽しくリハビリができるといった機能が、好循環につながる」と導入効果に期待する。

さらに「当院で最先端の治療やトレーニングが可能なことをアピールできた。患者にも大きな効果を出すなどプラスに働いた」と強調。一方で「医療用HALもカグラも、導入がコロナ禍と重なり十分に利用できなかった」とし、今後はより多くの患者に提供することを目指す。

日刊工業新聞 2022年4月19日

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