ニュースイッチ

設備投資意欲が減退する中小企業、漏れる不安の声

経営者慎重、半導体不足も要因

中小・小規模企業の設備投資意欲が伸び悩んでいる状況が、帝国データバンクの調査で明らかになった。長引くコロナ禍や円安、エネルギー・原材料価格の高騰が企業マインドを冷やしている。設備投資の減退傾向が長引けば、今後の成長や生産性向上にも悪影響を及ぼしかねない。

2022年度に設備投資計画がある企業の割合は全体で58・9%と前年度比0・9ポイント増えた。大企業は72・0%と同2・3ポイント増加するのに対して、中小企業は56・3%と同0・7ポイントの微増にとどまり、小規模企業は43・7%で同1・2ポイント減少した。企業規模で投資意欲に差が生じている。

投資をしない理由を中小企業に聞いたところ「先行きが見通せない」が54・1%と最大で、「借り入れ負担が大きい」や「原材料価格の高騰」が大企業と比べ5ポイント以上割合が高かった。

「円安で燃料価格が高騰し収益圧迫が想定され、安易に設備投資できない」(新潟県の一般貨物自動車運送業)や「同じ機械設備が10年、20年前と比べて高くなっている。予算が合わない」(長崎県の金属製建具工事業)などの声が聞かれた。

一方、設備投資を行う内容では、設備の代替や既存設備の維持・補修が多いものの、情報化やデジタル変革(DX)などのデジタル投資が34・3%と急増しているのも、22年度の特徴となっている。

調査を担当した帝国データバンク情報統括部の杉原翔太氏は「資金繰りは、金融機関の貸し出し姿勢は前向きだが、借りる側の企業が、これ以上借り入れを増やしたくないと慎重になっている。運送業ではトラック購入意欲があるものの、半導体不足などで生産が追いつかず、購入できないといったサプライチェーンの問題も起こっている」など、さまざまな要因が設備投資が増えない背景にあると指摘する。

ただ、「経済安全保障推進法の成立で、製造拠点の国内回帰や新設が増加する。これらは今後の設備投資に好影響を及ぼす可能性がある」と言う。

政府も事業再構築補助金やものづくり補助金などの助成策や、補正予算で燃料高騰対策を計上する方針であるなど、中小企業への支援策を拡充する考え。

中小企業のマインドを改善させ、投資意欲を上向きに転じさせるには、課題が山積する状況にあるのは確か。だが、継続的な設備投資が生産性向上や賃金の引き上げにとって不可欠であることを経営者が再認識する必要もありそうだ。

日刊工業新聞2022年5月27日

編集部のおすすめ