ルノーのEV新会社構想にどう動く?、日産社長が語ったこと
日産自動車の内田誠社長は15日までに報道各社の取材に応じ、企業連合を組む仏ルノーが分社化と株式公開(IPO)を検討している電気自動車(EV)事業の新会社について、「まずはルノーの考えているやり方をきちんと理解して消化したい」と述べた。また新会社設立に関連してルノーが日産株の一部売却を検討しているとの報道については「そうした話はない」と否定した。
ルノーは2月にEV事業を分社化する構想を表明し、2023年にもIPOを目指す方針を掲げる。巨額投資が必要になるEV向けの資金を調達する狙いがあると見られる。
内田社長はEV新会社構想を理解した上で、連合を強くするためにも「ルノーの考えをサポートしていく」と強調。支援の仕方で「日産がどうそれに入っていくのか、日産として別にやるのかということを協議していく」と述べた。
ルノーのEV新会社設立をめぐっては、海外通信社が4月に保有する日産株の一部売却を検討していると報じた。内田社長はこの報道に「びっくりした」と述べ、ルノー首脳から日産株売却の打診や話をされたことはないとした。一方、自動車業界が変革期を迎える中、「将来、日産が成長する上でさまざまな選択肢があると思っている」と述べた。
日産は23年3月期の世界販売見通しを前期比3・2%増の400万台と予想。半導体の需給逼迫(ひっぱく)や中国での都市封鎖(ロックダウン)などの影響を織り込んだ。内田社長は受注残を抱える足元の需要を踏まえ、部品不足などの供給制約を全く受けなければ、世界販売は「少なくても480万―500万台レベルまでいける実力があると思う」と語った。
日刊工業新聞2022年5月16日